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ライトノベル作家、八薙玉造のblogです。 ここでは、主に商業活動、同人活動の宣伝を行っております。
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2008年夏コミ新刊『続々 妖怪超人バンニュード』の本文が完成しましたので、
予告編を公開します。
とにかく、最終決戦! なお話を書き上げることができたと思います。

『続々 妖怪超人バンニュード』は『続々』『妖怪超人バンニュード』の完全な続編になります。
今回は最終決戦のお話ですので、既刊を先にお読みいただいた方が、よりお楽しみいただけます。

以下、前作のあらすじ。本作のあらすじ。そして、登場人物紹介となります。
前作未読の方には完全にネタバレとなりますので、御注意ください。

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■前作のあらすじ
その世界には正義の味方がいる。
『妖怪超人バンニュード』。それは妖怪造人間と呼ばれる妖怪の力を持つ改造人間を用いて破壊活動を繰り返す謎の組織『伊邪那美(いざなみ)』と戦う仮面の男の名だ。ただし、住所不定無職。
夏のある日、大学生、獅子藤春香を救った彼は就職活動ができる状態までと、条件付きで彼女のもとに同居させてもらっていた。
平和な時間を楽しむバンニュードだが、そんな彼のもとに、『伊邪那美』の大幹部『剣神』焦尾が、そして、『獣神』アンジェラが姿を現す。
学園祭の日、死闘の末、彼らを打ち倒したバンニュードだが、それを機に彼は春香のもとを離れた。


■『続々 妖怪超人バンニュード』のあらすじ

『伊邪那美』の進攻は突如始まった。
活発化する『伊邪那美』の活動に対し、連戦を繰り返したバンニュードは疲弊していた。
そんな折り、日本各地の都市に対して妖怪造人間たちが同時攻撃を開始する。ただ一人、妖怪造人間の軍団に立ち向かうバンニュード。
それぞれの意思で動き出すかつての敵『剣神』、『獣神』。そして、獅子藤春香。
そして、『伊邪那美』の『列島沈没作戦』が動き出す!

『妖怪超人バンニュード』完結編!

■登場人物紹介
妖怪超人バンニュード/大車輪(おおぐるま・りん)
主人公。『伊邪那美』に拉致され、輪入道の妖怪造人間とされた男。一応、元大学生。『伊邪那美』の悪事を挫くため、命を賭けて戦うが、そのために定職に就くことができずひたすらに貧乏。春香と離れたことで、今は路上生活の身の上。ギリギリ。
涙脆く、気も弱いが、輪入道の特性として炎を操り、車輪に変型して空も飛ぶことができる。

獅子藤春香(ししふじ・はるか)

東京都在住の大学生。『伊邪那美』の妖怪造人間に襲われていたところをバンニュードに助けられ、後に行き倒れている彼を拾ったことが縁で同居生活を送ることになったが、現在はバンニュードが出て行ったため、一人に戻っている。
非常に理性的で、常に理詰めでものを考えることをモットーとしている。そのため、輪の夢見がちな言動に鋭く抉るようなツッコミを入れ続け、つい泣かすこともしばしば。その反面、彼を捨て置くことができない母性的な面も見え隠れする。

袖姫(そでひめ)
人とは違う存在。妖怪とも呼ばれる八百万の神の一柱であるが、通称――袖引き小僧。または、袖モギ。黒髪をおかっぱに切り揃えた童女の姿をしているが、年齢は不詳。自在に 姿を消すことができ、神出鬼没。『伊邪那美』に捕らわれていたところをバンニュードに助けられ、以後、彼を助けて行動している。
老いた口調で冷たく突き放した言動を繰り返すが、実のところ、バンニュードのことを気にして助け続けている、よき理解者。よくワンカップを呷っている。

『剣神』焦尾
『伊邪那美』の大幹部『剣神』にして、歳経た狸の神霊。無口で冷徹に見えるが、天然。ある目的で強さを追い求め、日本全国の神霊と戦い続けていたが、春香たちとの出会いと、バンニュードとの戦いを経て、何かに気づく。
変化の術により、木の葉を刀に変じ、磨き上げた剣技と、絶対無敵の防御術、千畳敷を用いて戦う。

『獣神』アンジェラ
『伊邪那美』の大幹部『獣神』。金髪美人で快活な性格だが、仲間である妖怪造人間たちや、『風神』千眼行者を殺したバンニュードに深い恨みを抱く。
プロトタイプの複合妖怪造人間であり、牛鬼とスキュラの神霊をその身に宿す。異形の姿に変じた時の破壊力は『伊邪那美』最強であり、水中での戦いでバンニュードを追い込んだ。
現在は『伊邪那美』に裏切られ、バンニュードと行動をともにせざるをえない状況に陥っている。


■予告編

亀裂だらけの高速道路を跳び駆け、アンジェラがそこに辿り着いた時、戦いは佳境を迎えていた。

振り仰いだ夜空に炎の塊が舞う。

 月も星も見えない曇天の空を紅蓮の炎を纏い、木の車輪が飛翔する。火の粉を撒き、高速で回転するその中央に巨大な顔があった。車輪の側面を埋めるのは赤面禿頭に虎髭を生やした男の顔面だ。

鼻や口から炎を噴出す禿頭を備えた車輪が唸りを上げて回転する。

「バンニュードクラッシュッ!!」

 絶叫と共に車輪は地表目掛けて落下した。

 爆音が轟き、割れ砕けたアスファルトの破片と共に吹きつける熱風がアンジェラの金髪を乱す。サイズの合わない大きなシャツが激しく揺れた。頬が切れたが、それを気にした様子もなく、燃え上がる炎の中、もうもうと立ち昇る黒煙を見詰める。

 炎にあぶられるアスファルトの上に、鬼の面をかぶった男が倒れ伏している。その半身は焼けちぎれ、もはや上半身しか残されていない。生きているはずもなく、鬼面の男は動かない。

 アンジェラはその男を知っていた。『伊邪那美』の妖怪造人間の一人、縊鬼男だ。指揮下の妖怪造人間ではないが、顔は覚えている。妖石を破壊され、死んだ妖怪造人間は体組織が崩れ、消滅していく。焼け焦げた縊鬼男の身体がドロリと溶け落ちた。

 燃え立つ炎の中から一人の男が姿を見せる。

 火炎を模した赤い装甲が鮮やかに輝く。溶けたアスファルトと縊鬼男の残骸を踏む足には木で作られた脛当てを着け、その両腕は同じく木製の籠手で覆われていた。バイザーが罅割れたマスクの下、鋭い瞳が黄色く光る。

 その胸でぎょろりと大きな目が蠢いた。男の胸には禿頭の巨面がある。先程、夜空から落ちた炎の車輪に備えられていたものと同じ顔をしていた。

 妖怪超人バンニュード。

 秘密結社『伊邪那美』の大幹部の一人『獣神』の名を持つアンジェラにとって、その男は憎むべき敵だ。『伊邪那美』の手で神霊の力を持つ妖怪造人間として改造されながらも、脳改造を前に脱出し、ただ一人で『伊邪那美』に立ち向かってきた裏切り者の輪入道男。それがバンニュードだ。

 彼は『伊邪那美』の大幹部『風神』千眼行者を破り、『獣神』であるアンジェラを倒し、『剣神』焦尾までも敗退させた。四人の大幹部のうち、三人までもが、バンニュード一人に倒されている。

 その男がそこにいた。

 バンニュードの足元に黒い雫がこぼれ落ち、焼けたアスファルトの上で白煙を上げた。

 妖怪超人は満身創痍だ。罅割れた赤い装甲は乾いた血で黒く汚れている。黒色の装甲が炎に舐められ、輝くのは光沢のためだけではない。

 炎から歩み出た彼の足取りは重い。

 突如、彼の四方から嬌声が上がった。

 闇から湧き出すように十を越える人影が姿を見せる。

のっぺりとした仮面をかぶった細身の男たちだ。細くいびつに歪んだ身体は、アスファルトとコンクリートの欠片、土で練り上げられているかに見えた。彼らが振りかぶるものもまた同じ材質で作られた石塊の棒だ。

 妖怪――神霊に変じる前の霊気を強制的に呼び覚まし、擬似的な命を与えた『伊邪那美』の簡易戦闘員ヤオヨローズたちだ。彼らは特殊な加工を施された札から呼び出され、主に従う。

 甲高い声を上げ、バンニュードの四方からヤオヨローズが一斉に打ちかかる。

 叩きつけられた棒を籠手で受け止め、彼は反撃に転じる。黒い装甲に包まれた拳は石塊と土の身体を穿ち、蹴りの一撃がヤオヨローズを両断する。仮初の肉体は打ち砕かれ、もとの石塊に戻る。

 だが、十を越える敵全てを捌くことなどできない。叩き込まれた棒が肩の装甲へ食い込み、赤い欠片を散らした。罅割れていたバイザーが砕け、その身が沈む。バンニュードの喉からうめきが漏れる。

「くそ……! どけ!」

 叫びと共に彼の両の籠手が燃え上がった。炎は腕を伝い拳に達し、さらに伸びる。一瞬の間に作り上げられたのは渦巻く炎の剣だ。

「バンニュードダブルソードッ!!」

 それを振るう声に、焦りが混じっているのをアンジェラは感じ取る。

 ヤオヨローズを棒ごと溶かし、切断し、次々と打ち倒しながら、彼は夜空を見上げる。

 その視線の先に、焦燥の原因があることに、アンジェラは気づいていた。

 闇色の空に大きく揺れる影がある。それは星明りのない夜空よりもなお暗い、黒い人影だ。並のビルよりも遥かに大きく、高速道路の上にあっても見上げる程のそれは、夜空をさらに伸び上がり続けている。

 輪入道男であるバンニュードと同じく入道シリーズの一体、見上げ入道男だ。巨大化の能力を持ち、膨れ上がるまでに相応の時間を要するが、それさえ成功すれば凶悪無比の破壊力を持つ、『伊邪那美』有数の強力な妖怪造人間だ。

 最後のヤオヨローズを斬り飛ばし、バンニュードが向き直った時、見上げ入道男は巨大化を終え、大きく腕を振り上げていた。手刀の形に構えた腕は見上げ入道男の必殺の一撃、見上げマキシマムチョップだ。

「させるかっ!」

 地を蹴り、バンニュードが跳んだ。

 

 ――君と僕とで紡ぐ ゆるやかな輪舞曲

 ――途切れさせずに 踊り続けて

 

 どこからか聞こえる歌声に目をやれば、高速道路上に古い型のラジカセが転がっている。カセットテープしか使用できないほとんど骨董品に近い代物だ。そこからアンジェラも聴いたことがあるバンニュードのテーマソングが流れている。音質は悪く、おそらく自分で歌った声は時々、音を外れていた。

「おぉぉぉぉぉぉっ!!」

 バンニュードの叫びに、アンジェラは夜空へ視線を移した。

 跳び上がった彼の四肢が曲がり、籠手と脛当てが繋がり、その身が変形する。木の車輪と化した身体が炎を纏い、高速の回転と共に飛翔した。先程、アンジェラが見た空を舞う車輪そのものだ。

 

――プリーズ・コールミナーウ 世界の果てにいても

 ――ビコーズ・アイラビュー 必ず迎えにいけるから

 

 そこへ見上げ入道男の手刀、見上げマキシマムチョップが振り下ろされた。

「バンニュードクラッシュッ!!」

 バンニュードの絶叫が轟き、降りそそぐ手刀と車輪が真っ向からぶつかり合う。

 見上げマキシマムチョップは止まらなかった。炎の弾丸と化したバンニュードもろともに、巨大な手刀がアスファルトに食い込み、あっさりと破壊する。罅割れたアスファルトを切り裂き、めり込んだ一撃はそのまま高速道路を両断した。

 わずかに遅れて破壊の音が上がる。

 巻き起こった拳圧が瓦礫を巻き上げ、アスファルトを跳ね飛ばすがアンジェラはたじろがない。先程からバンニュードの歌を流していたラジカセが吹き飛び、やけに軽い音を立てて壊れた。

 破壊の余韻だけが不気味に響く。

吹き上がる粉塵の向こう、高速道路を切断した手刀を地面へめりこませた身上げ入道男の姿がある。

 ゆっくりとその腕が、地面から引き抜かれようとした瞬間、瓦礫と砂塵を押し破り、赤い閃光が夜空へ向かい、一直線に駆け上がった。

 高速の回転により、炎を撒き散らしながら夜空へと飛び上がったのは、紛れもなく車輪形体のバンニュードだ。あの巨刀とも言える一撃からどう生き延びたのかはわからないが、彼はまだ戦闘能力を失っていない。空中で反転した車輪が、右腕を埋めたままの見上げ入道男目掛け、夜空を疾駆する。

「まだだあぁっ!」

 対して見上げ入道は残された左の拳を握り固め、間髪入れず叩き込んだ。

 バンニュードの数十倍の大きさを持つ拳が迫る。まっすぐに飛ぶ車輪を拳が捉えたように見えた瞬間、炎の筋が見上げ入道男の拳をさかのぼり、肘までを一気に駆け抜けた。

「ダメ! 見上げ入道男!」

 アンジェラは思わず叫ぶ。

 その時には、既に炎の軌跡は二の腕に達している。

 車輪形体のバンニュードはすんでのところで、拳をかわし、伸びきった腕に着地して走っていた。炎の轍を黒い腕に描きながら、高速で見上げ入道に迫る。

 肩から飛び上がったバンニュードは見上げ入道の頭上で旋回し、進路を真下に変えた。

「バンニュードクラッシュッ!!」

 見上げ入道男の頭が吹き飛んだ。赤く輝く筋が黒い胸を焼いていく。黒煙を上げて、裂けゆく身体を抑えようとするが、バンニュードの進撃は止まらない。

 巨大な腹が炸裂した、肉なのか骨なのかもわからない黒いものを撒き散らす、見上げ入道男から飛び出した炎の車輪は空中でバンニュードの姿に戻り、原型を留めないアスファルトの上に、転げた。

瞬時に受身を取りながら、跳ね起きたバンニュードの眼前で、黒い巨体が傾いでいく。

「ごおぉぉぉぉぉぉ」

 苦痛の唸りを上げながら倒れていく見上げ入道男の身体が急速に縮み始めた。頭から胸までを切断された身体が赤々と燃える。自ら破壊した高速道路の上へ倒れこんだ時、その身長はバンニュードやアンジェラと大差なくなっていた。

 倒れ伏した見上げ入道男の残骸が燃え、炎の中で黒い塊と化し、溶け崩れる。

 荒い息を吐きながら、バンニュードが膝をついた。

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