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ライトノベル作家、八薙玉造のblogです。 ここでは、主に商業活動、同人活動の宣伝を行っております。
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 ライトノベルをガリガリと書かせていただいている身の上です。

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gorilla_sample1.jpg










コミックマーケット81参加します!
今回は、新刊、無理ー! と思ったけど、どうにかなったぜ!

12月31日(土) 東マ-36b 『玉造屋バキューン』

新刊は短編小説『悪いな! この巫女はゴリラなんだ』になります。

キャッチフレーズは『新感覚★読むと強くなる(ゴリラに)ライトノベル!!』です。
何を言ってるかわからない?
そのまんまです。
誰が得するの!?
さ、さあ……。

ともかく、年末、うっかりお暇な方は、ぜひぜひ。
よろしくお願いいたします。

そんなわけで、以下、あらすじと冒頭部分抜粋の予告篇になります。
変更の可能性はありますので、ご了承ください。




■あらすじ
 三学期が始まって一週間が過ぎたのに、日南子(ひなこ)が学校に出てこない。
 彼女を心配した黒雄(くろお)は、日南子の実家を訪ねる。
 しかし、そこで会った日南子は、大型類人猿特有の歩行方法、
 ナックルウォーキングをしていた。つまりは、ゴリラだ!
 新感覚★読むと強くなる(ゴリラに)ライトノベル!!

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■予告篇

 後ろで結われた長い黒髪を揺らして、巫女が舞う。
 神楽殿の床を踏みしめ、彼女は神楽を舞い踊る。
 新年を祝い、神社を訪れていた人々が、彼女の舞いに見惚れ、足を止めていた。
 彼女の持つ神楽鈴が心地よい音を鳴らし、笛や太鼓の音と共に境内に響く。
 身を回し、踊る彼女の顔に、かすかな、恍惚とした笑みが浮かんだ。
 その次の瞬間、少女は身を硬直させて神楽殿の床に倒れた。
 手から落ちた神楽鈴が虚しい音を響かせる。

   ◆ ◆ ◆

「お邪魔します! 日南子(ひなこ)!」
 靴を脱ぐ時間ももどかしく、黒雄(くろお)は玄関に、靴を乱暴に放り出した。
 詰襟の学生服に袖を通した彼は、小柄な少年だ。
 まだ幼さの残る顔をしているが、その表情は固く、眼鏡の下の目は真剣そのものだった。
 唇を引き締めた彼は、まっすぐに廊下を歩いて行く。
「あら、黒雄くん。いらっしゃい」と、台所の方から、聞き慣れた声がしたが、黒雄は頭を下げただけで、そのまま家の奥へ進んだ。
「日南子! 大丈夫なんですか? 高校の方、三学期始まって一週間になるけど、全然、連絡がつかなくて、心配で……。僕、来てしまったんですけど!」
「待てこら! 人の家に勝手に上がってるんじゃねえぞ、ガキ!」
 黒雄が目指していた部屋の障子を開けて、彼の前に一人の男が飛び出してきた。
 行く手を塞ぐ巨躯の男に、黒雄は思わず足を止める。
「うわっ!? ゴリラ!? いや、どちらかと言えば、ロン・パールマンに似た顔をしている……! ということは、日南子のお父さん!」
「誰がロン・パールマンだ! どういう判断してやがる! あんな猿顔ゴリラ体格俳優と同じにするんじゃねえよ! というか、わかりにくいだろう が、小僧! 誰がパッと、わかんだよ! 代表作は、ヘルボーイか!? 五十過ぎても、ボーイ呼ばわりかよ! なんだか親近感がわくので、嫌いじゃねえ が!」
 男、日南子の父、銀二(ぎんじ)は、ゴリラ、あるいはロン・パールマンに似た顔を歪めて、黒雄を睨みつける。
 作務衣を着た二メートル近い巨躯は今にも黒雄に襲いかかりそうな勢いで前のめりになり、剥き出しの歯がギリギリと音を立てていた。
「さすが日南子のお父さん。今の例えでわかるなんて。日南子がそっくりって言ってるだけありますね」
「うるせえよ! そもそも、てめえに、ロン・パールマン呼ばわりも、お父さん呼ばわりもされる覚えはねえ! 日南子も、最愛のお父さんのこと普段何て、言ってんだ!?」
「そんなことはどうでもいいんです。日南子、いるんですよね? 正月に神楽舞いの途中で倒れて、風邪で寝込んでるって、話ですけど、病院に行ったって話も聞かない……。僕からのメールに返事もない。日南子、そこにいるんですか?」
「ああ。そのとおり、風邪で寝込んでんだよ。今も寝てるから、帰れ帰れ」
「なるほど……。寝ているなら、しょうがないですね」
 黒雄は肩を落とすと、踵を返す。
「……と見せかけてぇぇぇ!」
 一転、銀二の方へ振り向くと、床を蹴って滑り込むように彼の横をすり抜ける。
「てめぇぇっ!?」
「日南子さん! どうしたんですか!? 大丈夫……っ!?」
 日南子の部屋に踏み込んだところで、黒雄は硬直し、目を見開いた。
「ちっ……。見やがったか」
 後ろで銀二が毒づくが、黒雄は聞いてもいない。
 黒雄は日南子と親しく、この部屋にも何度か遊びに来たことはあった。
 広い和室には、彼女の勉強机や本棚が置かれている。
 棚の上には、彼女が好きな、デフォルメされたゴリラのぬいぐるみがいくつも置かれていた。
 部屋の真ん中には布団が敷かれているが、敷き布団も掛け布団も乱れたまま放置されていた。
 日南子は部屋の隅にいる。
 パジャマ姿の彼女は、いつもとは違い、長い黒髪をツインテールに結わえていた。
 黒雄以上に、高校生としては幼く見える彼女には、そのツインテールがよく似合って見える。
 だが、本当にいつもと違うのは、そこではなかった。
 日南子は四つん這いだった。
 愛らしい薄桃色のパジャマを着た彼女は、尻を突きだし、両手を畳の上に突く姿勢で、黒雄をじっと見つめている。
「コホッ、コホッ」
 咳をするような音が、彼女の唇から漏れた。
「日南子? いったい、どうしたんです……」
 黒雄は明らかに異常な状態の彼女に近づこうと、足を踏み出そうとした。
 その瞬間、四つん這いだった日南子は、唐突に立ち上がると、唇をすぼめた表情で、しかし、確実に黒雄を睨みつけたまま、その胸を平手でバチバチと叩き始める。
 パジャマの下、まだ成長途中ながらも、それなりの膨らみが揺れるのを、黒雄は呆然と見つめていた。
「そ、そんな……まさか」
 黒雄の身体が揺らぎ、後ろに立っていた銀二にぶつかった。
「そうさ。日南子はなんだかよくわからねえことになってる。だから、わしは見せねえように……」
「あれは、まぎれもなく、ドラミング! ならば、四つん這いに見えたアレは、ナックルウォーキング! 大型類人猿特有の歩行方法!」
「な……!? てめえ、日南子の、アレが何なのか、わかるのか!? というか、その反応、なんかおかしくねえ!?」
「はい。わかります」
 黒雄はそのまま退がり、銀二と共に日南子の部屋の外に出た。
 立ち上がり、胸を叩いていた日南子は、警戒を続けていたが、しばらくして両手を畳に降ろし、もとの四つん這い、すなわち、黒雄の言うナックルウォーキングの姿勢に戻った。
「お父さん。見てください。日南子さんの手。四つん這いですけど、拳を軽く握るような形で、指の背を地面につけてますよね。あれは、一部の大型類人猿だけがとる四足歩行なんです」
「お父さんって言われる筋合いはねえが……。そうなのか」
「はい。そして、今、日南子がとった威嚇のような行為。あれはドラミングと呼ばれるゴリラ特有のディスプレイ行為。つまりは、自分の存在を周囲に知らしめるための行動です」
「威嚇じゃねえのか?」
「威嚇以外にも、群れの仲間との通信や、他のオスとの衝突を避けるため、子供なんかは、単純に遊びとしても行う行為だとされています。今のはまぎれもなく、僕に対する威嚇でしたが」
 緊張した面持ちで、黒雄は眼鏡を押し上げた。
「てめえ……。日南子にくっつくタダの虫だと思ってたが、詳しいな」
「はい。僕の父は類人猿の研究家です。だから、僕も自然と彼らに詳しくなりました。しかし……」
 警戒心を露わにしたまま、部屋の隅にいる日南子を見て、黒雄は眉根に皺を寄せる。
「どうして、日南子が、ゴリラのようなことを。日南子は冗談でも、あんなゴリラする奴じゃなかった。まさか、お父さんにはゴリラの血が……。それとも、ロン・パールマンはやはり、ゴリラで……。いや、そんなバカな!?」
「あるか、アホ!」
 黒雄ははたかれた。
「日南子は、母親似だ。わしも、それでよかったと思ってるぜ」
「ロン・パールマン子とか、悲劇ですしね。いや、そうじゃなくて」
「正月の神事。あれがよくなかった」
 黒雄の言葉を遮り、銀二は言った。
「正月?」
「ああ。うち……荒達家は植田神社の宮司をやってる。だから、今年も正月、三箇日に、神事の一環として、日南子に神楽舞いをやらせてたわけだ」
「そっちは、僕詳しくないんですけど……。神楽って、神社でやる踊りって思ってます」
「そもそもは、神様を楽しませるための踊りだと思っておけよ。うちの神社で祀ってるのは、日本神話で、太陽神の天照大神が、天岩戸にひきこもっ て、世界が闇に閉ざされた時、その岩戸の前で踊って、引きずり出す機会を作った天宇受賣命って、神様だ。天照大神が、岩戸の外でお祭やってることに気づい て、『えー。ちょっと、わたしひきこもってるのに、マジひどくないー?』って、顔出したところを無理矢理! って、話だったわけだ」
「なるほど」
「実はな……。日南子の豹変は以前にもあったんだ。てめえと日南子が出会う、ずっと前にな?」
「え!? 日南子は、そんな……前から、あんなゴリラに……!」
「ちげぇよ! 日南子は、いわゆる神憑りになりやすい体質なんだよ」
「神憑り?」
「つまりはだ。神様が降りる、憑依するってことだ。まあ、神様には限らず、動物だったり、どうも生霊くさかったり……人格が一変するようなことが、稀にあったんだ。くっそ……。最近はねえから、大丈夫だと思って、神楽舞いやらせたんだがなあ……」
 銀二は苦々しい表情で、奥歯を噛みしめる。
「原因はわからないんですか?」
「わかったら、どうにかしてるぜ。だが……」
 銀二が首をひねると、ゴキリと重い音がした。
「天宇受賣命は、本質的な、古代の巫女……神と交信し、神を降ろすシャーマンとしての巫女を表すとされることもある。となれば、それを祀るうちの血筋には、そういうものが宿っているのかもしれねえ……」
「いや、降りてるの、どちらかと言えばゴリラですよ。神様じゃなくて」
「うるせえよ! 神様もゴリラも、狐も狸も似たもんだろうが! オカルト信じろ!」
「僕は類人猿は信じても、オカルトはちょっと……。いや、でも……困りますね」
 黒雄と銀二は、二人並んで、いまだ警戒を緩めようとはしない日南子を見る。
「……日南子、ちょっと痩せてませんか?」
「飯をあまり食わなくてな……。好物のカレーもダメだったんだぜ。ああ、ああ! 日南子! わしのかわいい、日南子! 心配で、わしは! わしは!」
 銀二が顔をしわだらけにして、瞳を潤ませる。
「うわ……。きつっ」
「きつって、なんだこら!」
「い、いや……。そ、そうだ! 日南子、その……あの様子では、トイレは……」
「あ。それだけは大丈夫だ。わしも最初、心配だったんだがよ。トイレだけは、ほっといても、きちんと一人で行くんだ。乙女だからかな。みんな、安心していいぞ!」
「乙女ならしかたないですね。オカルトすら越えるのかもしれません。確かに安心していい」
 黒雄は深く頷いた。
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